更新日:2012年8月27日 プログラム:福島プログラム
ふくしまキッズ実行委員会
委員長 進士 徹
7月23日から始まった2012年夏のふくしまキッズの活動は、8月23日をもって北海道9コース、愛媛県、福島県内4コース全てのコースの活動を完了しました。ひと月の間、大きな事故もなくすべての活動が出来たこと、関係各位ならびに子ども達と直接生活の支援をしてくれた多くのボランテイアの方々に感謝申し上げます。
そして、今年も5000万円を超える海外など多方面からのご支援と、ご協力を頂き、この夏休みに放射線の不安から解放された520人の子ども達が子どもらしさを取り戻し、さらに心豊かな経験を積む事が出来ました。厚く御礼を申し上げます。
今年に入って、東日本大震災や福島原発事故に関する報道は極端に減り、特に福島の問題はすでに収束したかのように思われています。しかし、問題はそんなに簡単なものではありません。その一つの事例として、お子さんが参加したお母さんのふくしまメッセージの1部抜粋して紹介させていただきます。
今は震災前と変わらない生活を送っていますが、心の中では(本当にこれで良いのだろうか)という不安が常にあります。しかし、福島に生まれたのが、この子の運命ならば、精一杯生きて欲しい。勉強、スポーツ、そしてたくさん遊んでいろんな事を経験して欲しい。そしていつか人の役に立てる人間になる事ができたらと思います。
せめて夏休みくらいは、自然の中で思いっきり、のんびり遊んで欲しいと思います。
そして生きる力を学んで欲しいと思っています。(以下略)
上記のように、放射線の影響がわが子に出ないことを祈る思いで、保護者の皆さんは福島で覚悟を持って生きる事を決めたという事です。
昨年の夏に、はじめの1歩を踏みだした「ふくしまキッズ」です。振り返ると多くの困難を乗り越えながら、昨年の冬休み(北海道、神奈川、愛媛)・春休み(北海道、神奈川、長野、岐阜)の活動を実施してきました。その中で、プログラム運営面もスキルが上がってきました。そして、子どもを通じて私達、ふくしまキッズ実行委員会とご家庭との信頼関係もかなり構築出来ていると実感しています。
この夏に郡山駅、福島駅に集合した子どもたちを引率して目的地に向かいましたが、昨年と比べて、この夏の全体が落ち着いた雰囲気でした。見送る保護者の皆さんに昨年のような悲壮感はなく、わが子の成長への期待感が表れ、子どもたちは参加するコースへのワクワクする気持ちにあふれていました。そして、それぞれの最終日に、郡山駅、福島駅には、真っ黒に日焼けした元気な子どもたちの姿と、その姿に目を細める保護者の皆さんであふれていました。
子どもたちはこれでまた福島での生活が始まります。ボランティアのお兄さん、お姉さん、おばさん、おじさんとの別れの涙や、各地での多くの感動が放射線の不安を吹き飛ばすくらいの元気を与え、笑顔の充電ができたものと信じています。
これでふくしまキッズの活動は冬まで一区切りをつけることになりますが、原発事故の先行きは不明であり、拡散した放射線の影響は長期化します。そうした時間が経過する中で、福島で起きた事が忘れられつつありますが、私たちはどんなことがあろうとも子どもたちを守り育てたいと思います。そのために、多くの方々とつながりながら、今後もふくしまキッズの活動を継続してまいりますので、引き続き皆様のご理解とご協力をお願いします。