更新日:2013年12月28日 プログラム:北海道大沼プログラム
大沼での活動には、身の回りの整理整頓とか掃除はもちろん、生活に直結した「仕事」がたくさんあります。
薪を作らないと寒くて風邪ひいてしまうとか、餌をあげないと動物が死んじゃうとか、
雪かきをしないと滑って転んじゃうとか、水道をちゃんと管理しないと凍ってしまうとか、
かなり本気度の高い仕事がすぐそばにあります。
で、今までは「子どもは遊びに専念すべきだ」といって、
それらは「業務」「作業」としてスタッフがこなしていましたが、
今はその一部を子ども達と一緒にやっています。
最初は「自分のことは自分でやるべきだ」だなんていって、いわばタスクとしてやっていましたが・・・
やらされる仕事っていうのは、いつの時代でも大変で、つらいもの。
でもやらないと寒いしなあ、どうにかできないものかなあ、とあれこれ悩んでいたのですが、
さまざまな仕事を子どもたちの「遊び」と捉え直すことで、劇的に雰囲気が変わりました。
例えば薪割り。大人にとっては腰を痛める辛い作業であり、子どもにとって「まさかり」はとても危なっかしい道具です。
でも、ボランティアの皆さんが、子どもの握力や体力でも安全に薪割りをすることができる技と指導法を編み出しました。
そしたら、まあ割ること割ること。「もうないの」「まだやりたい」とせっつかれる始末です。
膨大な量の薪積みも、
「これって、【リアル積み木】だね」「むかしの人はこれをやりながらレゴとか考えたのかな」
なんて言いながら作業をすれば、なんかだんだんと楽しくなってきて、あっという間に積み上げてしまいます。
そして、馬小屋の修繕。
室内で静かに木工クラフトをやっていた子達、ドリルとかの使い方が上手になってしまったので、
その技術を習得したころに「いやあ、木ネジを打ってくれる人がいると助かるんだけどなあ」だなんて声をかけたりすると、
屋根や壁のネジうちをバンバンやり始めます。口に木ネジをくわえたぐらいにしてね。
ほかにも、洗い物とかフキンを干すとか、台所を汚さないひと工夫とか、いろいろとあります。
子どもたちは折に触れて、仕事という遊びを楽しんでいます。
どうやら、「大人がいつも使う道具が使える」「大人が子どもに本気で感謝する」というのがコツのようです。
子どもの取り組む活動が、大人の仕事、あるいは空間全体の最適化に確実に寄与するという「リアル」が、
双方の関係を「子どもと大人」ではなく「仲間」に向上させていくのでしょう。
子どもも大人も、同じ目的を達成するために、一緒に汗をかく。それぞれの持っている体力と技を駆使して、どうにかする、最適化する。でもそれは遊びであり、楽しい。
長い共同生活を、そんな風に過ごしています。